∫hiRo 〜雨の向こうで僕が思うこと〜
 

 ちなみに僕がヒトだったら――

 マリちゃんのようにヨウチエンに行ったり、ご主人のように庭の手入れを楽しんだりするだろうな。


 “コウソツ”だとそういう事も出来ないのかな?

 僕はシロを少し、可哀相に思った。



 気持ちのよい空の下、いろいろな想像をしながらウトウトしちゃう僕。

 そして日が傾いた頃、いつも通りシロは立ち上がった。


 僕もそれに合わせて、公園に戻った。



 ふと空を見上げたとき、僕は桜の花が所々咲いているのを見つけた。

「あっ、咲いてる!」

 みんなを夢中にさせる薄い紅色を、僕は初めて見たのだ。



 あぁ、なんてキレイな色なんだろう!

 みんなが夢中になるのも無理はない美しさ。



 みんな――


 ご主人の庭の桜も、もう咲いたんだろうか?


 ……。


 このとき僕は家を出てから初めて、“寂しい”と思った。






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