∫hiRo 〜雨の向こうで僕が思うこと〜
「そういえば――土手で僕に毎日お菓子をくれる男のヒトがいるんだ。シロって呼んでるんだけど」
僕は思い出したように“シロ”の話をした。
「あ? あいつ、まだ土手にいるのか? 俺の家の裏に住んでるヤツなんだ。シロって言うのか?」
ショコラは僕よりずっと前から、シロを知っているようだ。
「シロってのは僕が勝手につけた名前なんだけどね。ねぇ、シロって病気みたいだね?」
僕が何気なくそう言うと、
「あいつが 病気だって? 土手でボーーッとしてるだけなんだぜ?そういう病気があるのかもしれないけどな」
と、ショコラはとても皮肉っぽく答えた。
「本当にもったいないヤツだよ」