∫hiRo 〜雨の向こうで僕が思うこと〜
僕は今日、土手に行くのをやめた。
そしてショコラの後を追う事にした。
ショコラはひょいひょいと細い道や塀の上を歩いて行くので、僕は追いかけるのがとても大変だった。
そしてしばらく歩いた後、ショコラは白くて大きな建物を取り囲む塀の中に入って行った。
「ここはどこなんだろう?」
大きな建物を見上げる僕。
すると、中から男のヒトの声がした。
「よぉ!ショコラ」
遠くからそっとのぞくと、さき程の声の主であろう男のヒトが、ショコラに歩み寄って行くのが見えた。
ショコラは無愛想なままだったけれど、そのヒトに頭を撫でられたりしていた。
「ナー……」
「今日も無理だよ、可哀相だけどな。早く家に帰るんだぞ」
そのヒトはショコラに優しくそう言った。
それでもショコラは、門と建物をつなぐ通路の脇に寝そべると、しばらくそこでじっとしていた。
「ショコラ、ここで何してるんだろう?」