∫hiRo 〜雨の向こうで僕が思うこと〜
僕は家出をして来た自分の事を、ショコラに話した。
「ショコラ、聞いてくれるかな? 僕さ、それほど親しくないヒトから“宗一郎なんか”って言われて、何だか自信がなくなっちゃってさ。
そしたら優しかったご主人まで信じられなくなってしまって……
とうとう家を出てきてしまったんだ。僕ってホントに弱虫だよね」
僕の突然の告白に、ショコラは最初こそ驚いた顔をしたけれど、それでも最後まで黙って聞いてくれた。
そして
「おまえは別に弱虫じゃないよ。弱虫っていうのは、ふてくされて何もしないヤツのことさ」
と、笑って言ってくれた。
僕は、嬉しかった。
「ありがとう。ショコラにそう言われると、何だか救われるよ」
僕は桜の花を見ながら続けた。
「あの日から、僕はいろんな事に気付かされたよ」