∫hiRo 〜雨の向こうで僕が思うこと〜
ショコラは話を続けた。
「そこに行くと前は時々会えたんだけど……。でも今は、全然会えないんだ。だから、会うというよりは、建物から出てくるのを、ただ待ってるだけなんだけどな」
僕は僕の予想外の事情だった事に、少し驚いた。
「ショコラには、ご主人が2人いたんだね!」
ショコラは僕を見て、少し笑みを浮かべた。
「前のご主人は歳をとった女のヒトだったんだよ。でも、ある日突然、俺をあの赤い家の“今のご主人”に預けて、家からいなくなってしまったんだ。俺は捨てられたんだと思った。そりゃあ哀しかったよ」
「え……?」