∫hiRo 〜雨の向こうで僕が思うこと〜
 

「でも何日かたって新しい家にも慣れた頃だった。俺は散歩の途中、白い大きな建物の庭で、変な形をした動く椅子に座っている“前のご主人”を見つけちゃったんだ。
……俺はなぜか“マズイ”って思った。だから逃げようと向きを変えたんだけど、ご主人は俺の名前を呼んでくれて、そして抱きしめてくれた。
複雑だったよ……でも嬉しかった」


 ショコラは話しながら、本当に嬉しそうな顔をしていた。


「その後も俺は度々会いに行って、その度ご主人は俺を歓迎してくれて……」


 ショコラは顔を上げ、遠くを見ながらつぶやいた。


「何で会えなくなったのかな……。想像すると、とても苦しくなるんだ。だから会えないって分かってても、毎日そこに行ってしまうんだ」


「ショコラ……」





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