ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
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池袋のうさぎさんから手渡された、青い紙袋。

警戒心を増させる…青色の袋。


恐る恐る覗いた袋の中には、ボーダー柄のシャツと…肌触りのいいストレッチ素材のジャンスカが入っていた。

シンプルであるのに、胸元はVネック、スカート部分は切り替えラインの入ったデザインが女の子らしいスカート。


中々…趣味がいい。

色を除けば。


「青だね」

「青だな」

「………」


櫂だけは、言葉すら拒否した。


うざったいくらい、嫌味な青色。

あの男を彷彿させる色。


櫂の不機嫌さは半端ない。


タグにはイタリック体で『ARES=IOA』と…店名らしき名前が記載されているが、あたしはそのブランドをよく知らない。

よって、何て読むどんなものを売っているお店かも判らない。


試着室での着替え中、あたしは櫂に…例の恋愛ゲームを説明させられ続けた。

あたしは命の危険を感じながら、至って誠実に概要を告げたのに、櫂の機嫌は更に悪くなるばかり。


ほとほと困りかけた頃、あたしは弥生に連絡を入れていないことに思い至る。


慌てて電話をかけると、案の定弥生は終始泣きっぱなしだった。


普段は大人びててクールで気丈で、いつも何だか含んだ笑いをして意味不明なことを言っている、イケメン好きなイマドキ女の子だけれど。

だけど…優しい我が親友。


彼女は何度も言った。


"生きてて良かった"


それはあたしも同じこと。


生きてさえすれば、次が…再会出来る未来がある。

死んだら…終わりだ。

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