ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
あたしと櫂の間には――
虚飾の台詞など必要がない、真実の絆があるじゃないか。
櫂とは終わりが来ない、そんな永遠の間柄じゃないか。
甘い言葉を置いて無情に去っていくような…
そんな程度で終わってもあたしがいいと思う、どうでもいいような男ではないんだ。
櫂は昔から特別なんだ。
それは判っているでしょう?
「櫂。あたし達は"永遠"だよ」
どんな愛の言葉より、あたしをときめかせる。
――櫂、永遠だよ?
――うん、僕達は永遠だね。
幼馴染を遙かに超えた"特別性"。
あたし達はただの幼馴染じゃない。
それだけ深く…濃密な関係なんだ。
あたし達は、永遠の間柄。
それだけはあたし…譲れない。
例え櫂がいくら変ってしまっても。
「………」
しかしそんなあたしの微笑も、荒んだ顔の櫂に弾かれる。
拒むような翳りに、心が痛くなってくる。
「お前は……いくら言っても俺の番号だけは携帯に入れないし」
ぼそっと…櫂は呟くように言った。
「…"知り合い"程度の男の番号は入れるのに」
櫂の手には、メタルピンクの2つ折りの携帯。
あたしの携帯がある。
人が寝ている隙に、勝手に覘いたの!!?
覘かれて不都合なものなど何もないけれど、勝手にされることは腹立たしい。
見たければ、あたしに言えばいいじゃないか。
「な、あんた、人の携帯を……!」
携帯を取り返そうと憤然と立ち上がる。
途端――
ゴツンッッ
当然の如く……車の天井に頭をぶつけ、慌てたあたしは続けて鼻を天井に擦り、そのまま仰向け状態でシートに崩れ落ちた。
「あうっ…」
ああ、星とヒヨコが回っている。
「……芹霞」
あたしの顔の両側に、櫂の両腕が降りた。
櫂が覆い被さるように、真上からあたしの目を見下ろしていた。