ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「今は紫堂が優位でも、この僕が御階堂を継げば形勢は逆転する。あの元老院だって認めざるをえない。それだけの力を手に入れた」
くくく、と冷たく笑う先輩を見て、あたしはこの人が骨の髄までおかしくなったのではないかと、少々心配になった。
「なあ神崎。人は簡単に堕ちるぞ」
「……は?」
「いつ、どこでERRORに転じるか分からない。
この世は愉快な虚構世界(ゲーム)だ」
長い前髪の中から、眼鏡の奥の双眸が不敵に光る。
「永遠に堕ち続けるのが、人の運命」
闇に魅入られた、澱んだ黒の色。
「だから神崎……」
ざわり、と体の奥で何かがざわめく。
この闇の瞳の奥で、何かが視える。
――……ちゃああん!
闇がざわめいて拡がる。
永久の闇色が
濃厚な闇色が
何よりも近くあたしを……
――霞ちゃん……んじゃ嫌だあ!
バッターンッ
何かが派手に倒れる音がした。
「お前……いい加減にしろよ」
強制的に引き戻される、現実の世界。
夕日より鮮やかな、橙(オレンジ)色。
「如月(きさらぎ)……貴様」
先輩の顔が忌々しげに歪み、歯軋りまで聞こえて来る。
くくく、と冷たく笑う先輩を見て、あたしはこの人が骨の髄までおかしくなったのではないかと、少々心配になった。
「なあ神崎。人は簡単に堕ちるぞ」
「……は?」
「いつ、どこでERRORに転じるか分からない。
この世は愉快な虚構世界(ゲーム)だ」
長い前髪の中から、眼鏡の奥の双眸が不敵に光る。
「永遠に堕ち続けるのが、人の運命」
闇に魅入られた、澱んだ黒の色。
「だから神崎……」
ざわり、と体の奥で何かがざわめく。
この闇の瞳の奥で、何かが視える。
――……ちゃああん!
闇がざわめいて拡がる。
永久の闇色が
濃厚な闇色が
何よりも近くあたしを……
――霞ちゃん……んじゃ嫌だあ!
バッターンッ
何かが派手に倒れる音がした。
「お前……いい加減にしろよ」
強制的に引き戻される、現実の世界。
夕日より鮮やかな、橙(オレンジ)色。
「如月(きさらぎ)……貴様」
先輩の顔が忌々しげに歪み、歯軋りまで聞こえて来る。