ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~




「玲くん、ちょっと玲くんッ!?」

 

薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)同士が、青い檻の向こう側で…共食いを始めている。

団子状になった真紅の…肉の塊のように見えた。


咆吼。

絶叫。


巻き込まれたら、確実に餌だ。


あたしはそれを見ないようにして、玲くんの背中を摩りながら、携帯を奪い取る。


「もしもし、桜ちゃん!? 玲くんが苦しそうなの。今、血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)に囲まれてて、お願い助けに来て!」


「芹霞……駄目だ。櫂が優先だ」

「玲くん、だけどこっちだって非常事態よ!?」



『芹霞さん。

残念ですが……


桜はここから離れられません』




「桜ちゃん!? じゃあ煌は、煌を寄越して!」



あたしが叫んだ時、電話の向こうで煌の声がした。


どうやら桜ちゃんが電話を替わったようだ。

と言っても、爆発する体質故…手にはしていないだろうけれど。


「煌!?」

『お、おう?』


「今すぐ弥生の家に来て。玲くんといるんだけど、血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)に囲まれてて」



『…… 玲が居るんだろ?』



「お願いだから来てッ」


『俺…櫂の護衛だから。玲に助けて貰えよ。玲は強いし』


「煌、その玲くんが苦しそうなのッ! 心臓が苦しそうなの!!! お願い、櫂には桜ちゃんがいるでしょ!?」


『櫂の護衛は桜じゃない。俺だ』


「じゃあ、桜ちゃんと仕事代わって、あんたが機械弄りなさいよ。桜ちゃんをこっちに寄越してよ。早く、早くッッ!!!」


あたしは電話口に絶叫する。



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