ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
玲くんがそちらを見たようだ。
虚ろな目だから、本当に見えているのか判らない。
ああ、何てこと。
道化師は敵なのか、味方なのか!?
「あれえ、紫堂の『白き稲妻』じゃないか。随分と無様だね、ぎゃははははは!」
金の男は、血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)の塊をさして気に留めるでもなく、その横をすり抜け、弱々しい青結界に張り付く血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)の1体の首筋で、鉤爪(かぎづめ)を引いた。
真紅色に視界を染めて――
血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)は消滅する。
「暁の狂犬あたりが、気張って出てくるかと思ってたけど、忠犬過ぎて、お前にお手も出来ないようだ。ぎゃはははは」
「……っ!」
「芹霞ちゃん、助けてやってもいいぞ。お前が条件を飲むならな。ぎゃははははは」
「条件?そんな価値、あたしにあるの?」
「ああ。
お前が闇の属性だからな」
不意に…男の笑いが止んだ。
下卑た笑いを消したその顔は、驚く程整っている。
意味が判らない。
だけど判るのは――
絶対、ロクでもない条件突きつけるに決まっている。
そんな気がするから。