ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



「あんた、なんでここに居るのよ!?」


「お、この状況で俺を睨み付ける!?やっぱり勇ましいね、愛しの芹霞ちゃんは。ぎゃははははは!」


いちいちムカツク男だ。


「俺がここに居るってことは、血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)が出現したってことだ。寝ぼけてるのか、ぎゃはははは!」


「だったら条件つけないでさっさと狩りなさいよ!」


「……へえ、いいのか?」


道化師は、血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)の手を捻り上げたまま動きを止め、面白そうにあたしを見た。


「悪いなんて言うと思う!?」



すると、



「お前……


"友達"でも見殺しにするんだ?」



そう言ったんだ。



――見殺しなんて…


「するわけないッ!!」



「……あの女、


血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)化するぞ?」




金の瞳が、肉食獣のように光る。



背筋に冷たいものが走った。




何…今――…


この男…なんて言った!!?



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