ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
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俺達は居間に移動した。
いつもより乱れている室内を桜と玲が急いで正す。
俺がいつも座るソファにどっしりと腰掛けた緋狭さんは、目の前に一升瓶を置くと、艶かしい足を組む。
しかし何故、緋狭さんは乗り込んできたのだろう。
正直、相手をしている暇はない。
だが、相手をしないといけない人だ。
俺にも、誰にとっても――
それが紅皇たる彼女の存在。
「何か、聞きたそうだな、坊?」
含んだ笑いを見せる。
「聞いてもよろしいので?」
「駄目だ」
緋狭さんはいつもの如く、意地悪そうに笑った。
……もう、慣れた。
玲は台所から、彼女の大好物の酒の肴……玲手作りの山海漬と、人数分の茶の道具を用意して持ってきた。
案の定、緋狭さんは嬉しそうな笑みを浮かべると、それを指で掴んで口に含む。
「なあ玲、嫁に来んか?」
すると玲は苦笑した。
「同じこと言われましたよ、妹さんに」
すると緋狭さんは、そうかと豪快に笑い出した。
「それでお前はどちらの嫁だ? 私か芹霞か」
身を乗り出して、面白そうに尋ねてくる。
判っていて訊いてくる。
「余りに恐れ多くて辞退します」
玲が嘘臭い笑みを浮かべて、返答自体を拒絶した。
「遠慮はするな。荷物まとめてウチに来い。
丁度反抗期の馬鹿犬の部屋が1つ開いている。
あの汚い犬部屋が不服なら、綺麗好きな妹と同室にしてやってもいい。決定権は私にある」
それでも食らいつく彼女の誘惑に、玲は一瞬動きを止め、
「ん………」
考え込む姿勢を見せた。