ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
ぐぐぐぅ~。
「お腹が空いた~」
「うるせえ」
ぎゅるぎゅるぎゅる~。
「何か買ってきて~」
「却下」
「餓死させるつもり?」
「十分脂肪がついてるだろ」
「なッ!! あたしは標準体型よッ!!!」
「わ、判ったから首絞めるなッ!!! 勝手に作って食え」
そんなことを言った。
「作れって、この部屋の何処に自炊設備があるっていうのよ」
「此処出て、突き当たり右に厨房がある」
何でもないように陽斗は言った。
「ち、厨房!?」
「驚くことか? 元々ここは研究所なんだから、水回りくらいもある。あ、手洗いは此処出て右突き当たり、シャワー室は左突き当たりだから」
水、通っているんだ、此処。
ああ、掃除の時のバケツの水…そこから汲んできたのか。
シャワー室までもあるとは。
ああ、陽斗はシャワーを浴びていたから、ゴミの悪臭しなかったんだ。
しかも。
この部屋はギャグにしか思えない程のゴミ塗(まみ)れだったけれど、実際他の場所はとても綺麗なのかもしれない。
そう、他は普通なのかもしれない。
そう、此処の主だけがきっと……、
「異常者扱いするな、馬鹿女」
むすっとした顔で怒鳴られる。
「作るから連れてってよ」
あたしの腹の虫は輪唱後、大合唱。
あたしはくの字に体を折りながら、厨房に案内して貰った。