ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~

「どう見てもボタンだよね?」


「……なあ」


「どこからどうみてもボタンなんだけどなあ」


「そんな体勢で煽るなって」


悲鳴に近い掠れた声であたしは我に返る。


あたしは仰向けに床に倒れた煌の身体に、馬のり状態で覆い被さっていた。


完全煌を襲っている状態。

これなら痴女だ。変態だ。


「うわッ!!!」


一応離れてみる。


すると煌が少しだけ、哀しそうな顔をした。


こいつは。

離れて欲しいのか、襲って欲しいのか。


Mワンコなんだろうか。


「俺……携帯壊すからさ、確か緊急時の連絡用にって玲がさー。櫂は懲りずに携帯渡してくるけど、それをあの家に置いてきたし」


そう。あたしも携帯を櫂の処に置いてきている。


「連絡、入れてみるか」


そう言いながら、煌は上体を起こした。


「本当に、それ使える?」


「多分。確か回したらどうとか玲が……」


「また壊してない?」


「失礼な奴だな」


「前例がありすぎるのよ、煌は。

ちょっと試させてね、んー、回す、ねえ。こうかな……」


あたしはまた、ぴったりと抱きつくような姿勢で、ボタンに顔を寄せた。


「だから~~ッッ!!! そういう風に、そんな間近で顔を近づけて、息を吹きかけるなって」


「仕方がないでしょう、我慢してよ。大体、そんなの恥ずかしがる間柄でもないし、腹括って黙ってて」


そう言うと、煌はむくれたような顔をした。

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