ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
御階堂が何かを叫んだ。
無視して俺達は走る。
走る。
何処までも芹霞と。
金色の男は何処に居る?
見つけても氷皇がついているかも知れねえ。
やり合う覚悟を…しなくては。
俺は走りながらも拳に力を入れ、横にいる芹霞を窺う。
「……なあ」
「ん?」
「お前は、陽斗連れて逃げろよ」
俺がどんなことになろうとも。
「!!!」
芹霞が足を止め、その目を見開いた。
そして俺は―――
バシバシッッ
平手打ちを食らう。
……しかもW(ダブル)。
「煌が死ぬなら――
あたしも死ぬよッ!!!」
そんな顔で睨むなよ、芹霞。
「言ったでしょう、あたし達は一緒に帰るのッ!!」
ああ、何だか。
「煌が一緒じゃないと、帰らないからね!!!」
頬の痛みさえ、心地良いなんて…
「………。
……何にやけてるのよ!!!」
俺――
べた惚れなんだな。
俺は芹霞の頭を撫でて笑った。
「ああ、死ぬときは道連れだ」
悪い、櫂。
もう少しだけ、夢見させて。
ありえない甘い夢に――
もう少し浸らせてくれ。
「!!!?」
その時――だった。