ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「馬鹿か如月ッ!! 今在る血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)を誰が収拾つけるんだよッッ!!
うわっ、ローカル手段しか受け付けなくなったじゃないかッ!!」
由香ちゃんは慌ててキーボードをカタカタ叩いた。
カタカタカタカタカタ…。
凄まじい早さだ。
まるで弥生の家で見た、玲くんのようだ。
「クソッッ!!プログラムは吸い上げられ、制御機能は物理的障害!!!? やば、やばやばやばッッ!!」
カタカタカタカタカタ…。
「「………」」
あたし達は蚊帳の外。
何だか涙は止まってしまった。
あれだけ涙で叫んだのに、キーボードの音で閉幕なんて、少し…虚しいかも。
しかし。
――今在る血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)を誰が収拾つけるんだよッッ!!
「……煌」
「あ?」
――制御機能は物理的障害!!!?
「制御されなくなった血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)はどうなるんだろ」
「さあ?」
煌には大した問題でもないらしい。
「あいつのプログラム盗んでいるのが玲なら、玲が何とかすんだろ。遠坂に出来て玲に出来ねえこと、ないだろうし」
そうか。
玲くんに任せればいいや。
何だ、意外と簡単に解決できた。
「そう簡単にいくと思う?」
その声は突然ふってきた。
振り返れば――
「先刻ぶり~」
手を振る氷皇、瀬良蒼生だった。
背後には先輩もいる。
この部屋は逃げ道がない。
これはいわゆる――
「絶体絶命?」
たらりと、嫌な汗が流れ落ちた。