ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~

 


驚いた褐色の瞳。

満足げな藍色の瞳。



「僕は離さない」



「芹霞ッッッ!!!」



煌が叫んだ時、その身体が床に叩き付けられた。


蒼生が…煌の腕を足で踏みつけている。


ぼきッ。


骨が折れるような…不穏な音がした。


煌の叫び。



「離して、離せッッッ!!!」



煌が、煌が!!!


あたしは暴れたけれど、

先輩の腕は離れない。



「神崎……」



抱き留める腕は強くて。

向けられる吐息は熱くて。



「煌ッッッッ!!!」




「神崎……」



先輩が苦しげにあたしの名を呼び、





「……好きだ」





そう言った。

 



「好きなんだ、


どうしても手に入れたい」






益々強められる腕の力。




「一年前の――


あの時から好きなんだ」






その時だった。



――ガツンッ。


先輩の後頭部に、

何かがあたったのは。


 

舌打ちする蒼生。

泣きそうな顔でこちらを見る煌。



「いい加減にしろよッッ!!!」


由香ちゃんだった。



由香ちゃんが、操作していたキーボードを両手に持ち、先輩の後頭部に力一杯叩き付けたんだ。


それは蒼生にとっても想定外のことだったらしく、怒った彼の足に、彼女も瞬時に床に叩き付けられた。


「駒は駒らしく、大人しくしてればいいものを」


その声は恐ろしく低く。

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