ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
まるで夢の中にいるように、理解しがたい事象だけが増えていく。
「……い、糸?」
糸で銃弾がばらばら?
糸で人間もばらばら?
――岩をも切り裂く裂岩糸。
目の前で、そんな物騒なものを操るのは…無表情のゴスロリ美少女。
いつもワンコとじゃれあう…紫堂の団長さん。
玲くんのお手伝いをしてせこせこ動く…桜ちゃんで。
大きな目がくりくり動く、可愛い桜ちゃんで。
桜ちゃんで……。
「あ、動かないで下さいね。あたり一面に張ってますので。下手に動くと瞬間ミンチですわ」
………。
くらり。
「何で来たんだよ?」
面白くなさそうな声を放つ煌に支えられ、何とかぎりぎり立っていられるあたし。
「あら、私が来なければ、今頃命失っていたじゃありませんか。氷皇に腕1本粉砕されただけでいたのは、少しばかり見直しましたが」
「……ざけんな。あいつ、遊んでいるだけじゃねえか」
「当然。氷皇が本気になれば街の1つや2つ、瞬時に壊滅ですわ」
「!!!! す、凄いんだね、蒼生」
「そんな凄い人を名前で呼べる芹霞さんも凄いですわ」
「だって、蒼生が自分で……」
「五皇っていうのは皆本名ではなく、字名を使います。
だから決して本名では呼んではいけないという、暗黙のルールがあるのですが……」
「そうなの?」
「……まあ本人が許可をして、芹霞さんが無事でいるのなら、それでいいですけれど」
――その時だ。
凄まじい破壊音が聞こえてきたのは。
今度は…何だ!!!?