ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
 


「もしかして、蒼生!?」


すると桜ちゃんはふふふと笑う。


「欲求不満なお方が、暴発しているのでしょう。

行きましょう、早く。

"彼ら"を氷皇と闘わせてはいけない。氷皇と相対出来るのは、彼らではない」


一体誰だと言うのだろう。



「……あのね、桜ちゃん。

離れ寄ってもいいかな?」


「離れ?」


「うん。陽斗……道化師を助けたいんだ。一緒に……連れて帰りたい」


桜ちゃんは明らかに訝った顔を向けた。


「ごめん、連れて帰りたいの」


桜ちゃんは溜息をついた。


「馬鹿蜜柑。あそこまで芹霞さんを連れる元気はありまして?」


桜ちゃんは爆発音が聞こえる場所を顎で促した。


「……おう」


「それでは――

私が行きますわ、離れとやらに」


「え?」


そして桜ちゃんは左手を横に振った。


「糸、解除しましたから。

早く行って下さいな」


桜ちゃんの手の中には――


「うわっ」


突如現れた黒いクマの人形(テディベア)…



だよな、どうみても。




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