ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
芹霞が傍に居るということだけで。
感動で胸一杯になってしまう俺は、なんて女々しいんだろう。
芹霞が俺の傍に居ないということだけで。
嫉妬に気が狂いそうになる俺は、なんて子供なんだろう。
本当に死ぬほど会いたかったから。
俺から…離したくなかったから。
「俺の傍にいるならどうでもいい」
芹霞がぎゅっと俺にしがみつく。
俺はそんな芹霞を囲い込むように、強く抱く。
芹霞の吐息が肌に溶けそうで。
触れた部分が甘く痺れていくようで。
思わず…息が乱れていく。
俺の…俺の芹霞。
芹霞が俺の胸元で囁いた。
「ありがとう、櫂。
会いたかったよ、凄く」
どくん、と心臓が震えた。
「凄く会いたかった。
また会えて――ホント嬉しい」
少しだけ顔を赤らめて。
「昔と真逆だよね」
――芹霞ちゃあああん!!
「あたし結構、櫂依存症だよね。
違うか、櫂欠乏症なのかな?」
はにかむような上目遣いでじっと見つめられて、
「んー、櫂を充電しちゃお。
ぎゅう~。えへへへ」
無防備に、更に柔らかな体を押し付けてきた。
それは…昔から変わらぬ仕草。
――櫂、ぎゅうしよう? ぎゅう~。えへへへ。
…………。
何で…昔に還る…?
――昔と真逆だよね。
お前、そう言ったばかりだろう?
「ぎゅう~ぎゅう~、もっとぎゅう~♪
搾りたてのミルクはおいしい~
ミルク最高、お~いえい♪」
…………。