ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「随分と用意周到だな、アオ。無論、私が来ると見込んでの……牽制の牽制か。そこまで手を出していたのか、"あいつ"は」
「アカ怖い~。怖すぎて僕、身体が動かない~。
五皇でも正当防衛、有効だよね?」
何だろう、この嘘臭い演技。
先ほどまでの緊迫感は何もない。
「……。……。そうか、そうか。
では乗ってやるよ、お前の魂胆に」
その何が緋狭姉の心を捉えたのか、緋狭姉は勝手に納得し、そして櫂に振り返る。
「坊、ここから出ろ。アオは私が相手する」
「え? 緋狭姉?」
「心配するな、芹霞。玲は回収に回ってる。桜とも合流して、裏から出ろ。手筈は玲に指示してる」
「え? え?」
櫂は頷いて、あたしの手をひいた。
「大丈夫さ。緋狭さんは、唯一氷皇と戦うことが出来る人だ」
「お姉ちゃん、そんなに強かったの!!?」
「ああ。神、だから」
またもや神!!!
櫂までも神!!!
あたしはちらりと緋狭姉を振り返る。
「早く行け、馬鹿妹」
手でしっしと追い払われる。
「また、明日ね~」
蒼生が手を振る。
え、何この…和やかさ。
あたし、この2人の関係がよく判らない。