ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



櫂と走りながら、


「櫂、あたし明日また蒼生と会うの?」


思わず訊いてしまったら、


「………」


櫂は押し黙ってしまった。


氷皇の行動は必然のことだと聞いた。

だとすれば、その言葉も必然?

というより、何故あたし?


緋狭姉や紫堂の皆のような力も何もない、どこまでも平凡なあたし。


「実は……

やんごとなき姫様とか……」


「それはない」


一瞬の儚い夢は、櫂は無情にも打ち砕いてしまった。


「だけど、お前は姫には違いない」


そう笑いかける櫂は、とても綺麗で。


その美貌に甘さを混ぜて陶然と言うものだから。


だから――


「俺は……

いつまでもどこまでも。


お前を迎えに行くまでだ」



ときめいてしまった。

少しだけど。


――芹霞ちゃあああん!!!


泣き虫だった幼馴染の…

誉れ高い王子様の姿に。

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