ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



なのに――



「玲くん、櫂は……どうかしたの?」


君から出る言葉は…"櫂"ばかり。



いつも、いつも、いつも!!!



「こんな時に……櫂の心配をしないで」



僕は…櫂じゃない。


君を抱きしめているのは、僕だ。



僕はたまらず、その髪に顔を埋めた。



こんなに近くに居る芹霞。


いつも見ているだけしか出来なかった芹霞。



直に触れる熱に浮かされる。



苦しみ以上の恍惚感に僕は身悶える。


僕だけが独占しうるこの快感。


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