ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~




「玲くん……?」



僕の背に芹霞の手が触れた。


甘美な痺れが脊髄に走り、

思わず声を漏らして仰け反った僕は――


我に返る。



「………!!!」



何を…考えていた?


芹霞の命とひきかえに、何もいらないと全てを捨てる覚悟でいた僕が、芹霞に何を思っていた?


途端――

僕を襲うのは罪悪感。


甘い痺れを拭う、罪の痛さ。



「……ごめん」



それしか言うことが出来なくて。



こんな僕でこめん。


弱い僕でごめん。


好きになってしまってごめん。


困らせてしまってごめん。


浅ましい僕でごめん。



芹霞は哀しそうな顔をしていた。


ごめん。


何度目かのごめんで、僕はいつもの僕になるよう、自分を奮い立たせた。


どんなに心がずたずたになろうと。


芹霞が望む僕になろう。


優しく…包み込んであげよう。



「櫂はね、今交戦中だよ。大丈夫。桜も煌も合流したから」



笑顔を作った僕に、

芹霞は無言で、ただ泣きそうな顔を向けていた。


何を…察したのだろう。


そんな顔、しないでくれ。

僕の方が泣きたいんだから。

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