ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


 
櫂の言葉を理解出来ないのは、

あたしの頭がおかしいせいだろうか。


櫂が…あの理解不可能な先輩とだぶって見えてくる。


駄目だ、あんなのになってしまっては。

あんたは『気高き獅子』なんでしょう!!!



そう、櫂の腕をポカポカ叩けば、



「いいぞ、俺に甘えろ?」




違う!!!




何だか空気が妙にピンク色。


ふわふわと漂い、お花まで咲きそうな気配。


櫂、こっちの世界に帰ってきて!!



「風邪なら、俺に移すか?」



櫂、異様に顔近いって。


あたしは風邪ではないけれど、喜んで移されにくるんじゃない、お前はMか!!!


「ああいいぞ、存分に移せ?」



何であたしの寝ているベッドに入ってくる!!

誰が許可した!?

 
 
あたしの抵抗は、思った程力が出なかったらしい。


よろけた隙に布団を捲り上げた櫂は、難なくするりとあたしの横に滑り込む。


そして片手をあたしの腰に巻きつけて、あたしをぐっと引き寄せると、反対の手であたしの頬を撫でる。


間近にある切れ長の目が、優しく甘く揺れて…あたしを見つめた。


「どうぞ?」



所要時間、数秒。


………。



何この密着度。


熱で熱い身体が益々熱く、それはもう沸騰しそうな程。


どくん、どくん。



波打つ心臓が痛い。


玲くんの病気がうつったんだろうか。

心臓病って、うつるもの!?


いや違う。

こんなに心臓がやばいのは、きっと熱のせいだ。

そうに違いない。



櫂は幼馴染み。

あたしの大事な永遠の幼馴染み。



お経のように心に説き聞かせる。

< 462 / 974 >

この作品をシェア

pagetop