ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
櫂の言葉を理解出来ないのは、
あたしの頭がおかしいせいだろうか。
櫂が…あの理解不可能な先輩とだぶって見えてくる。
駄目だ、あんなのになってしまっては。
あんたは『気高き獅子』なんでしょう!!!
そう、櫂の腕をポカポカ叩けば、
「いいぞ、俺に甘えろ?」
違う!!!
何だか空気が妙にピンク色。
ふわふわと漂い、お花まで咲きそうな気配。
櫂、こっちの世界に帰ってきて!!
「風邪なら、俺に移すか?」
櫂、異様に顔近いって。
あたしは風邪ではないけれど、喜んで移されにくるんじゃない、お前はMか!!!
「ああいいぞ、存分に移せ?」
何であたしの寝ているベッドに入ってくる!!
誰が許可した!?
あたしの抵抗は、思った程力が出なかったらしい。
よろけた隙に布団を捲り上げた櫂は、難なくするりとあたしの横に滑り込む。
そして片手をあたしの腰に巻きつけて、あたしをぐっと引き寄せると、反対の手であたしの頬を撫でる。
間近にある切れ長の目が、優しく甘く揺れて…あたしを見つめた。
「どうぞ?」
所要時間、数秒。
………。
何この密着度。
熱で熱い身体が益々熱く、それはもう沸騰しそうな程。
どくん、どくん。
波打つ心臓が痛い。
玲くんの病気がうつったんだろうか。
心臓病って、うつるもの!?
いや違う。
こんなに心臓がやばいのは、きっと熱のせいだ。
そうに違いない。
櫂は幼馴染み。
あたしの大事な永遠の幼馴染み。
お経のように心に説き聞かせる。