ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「ところでよ、芹霞ちゃん」
顔を上げた先の陽斗は――
白い服を脱いでいた。
な、な!?
そして上衣を脱ぎ捨てると、あたしを見る。
「何だよ、別に取って食いはしねえから」
気づけば壁際までじりじり後退していたあたしに、少し困ったような顔をして苦笑する。
「この服、着ろ」
"あたし一応お洋服を着ておりますが、お見えにならないでしょうか"
「見れば判るッッ!!俺は馬鹿じゃねえッッ」
"ではなぜにその服を?"
陽斗は斜め奥にある1点を指差した。
ここからでは残骸が死角になって見えなかったが、大きな円筒型の水槽がある。
まるで水族館の観賞用大型水槽みたいだ。
何故部屋に水槽があるのだろう。
「よく仕事を終えた制裁者(アリス)は入っていた。傷の回復が何十倍も早くなり、真紅の邪眼も消え失せる」
懐かしげに目を細めながら、陽斗は言った。
「ここが潰された直後――
俺が眠らされた場所だ」