ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
は!?
その苦渋の表情は冗談には見えなくて。
「なあ…――
俺じゃだめか?」
陽斗はあたしをぐいと引き寄せた。
陽斗の高い体温に、あたしは包まれる。
「俺がつけた赤い痕は…
あいつに消されちまうのか?」
息苦しい、熱い空間。
首にかかる陽斗の吐息が熱くて。
肌が火傷しそうで。
――くらくらする。
飲み込まれそうに、熱い。
あたしは思わず抗った。
「抵抗……しないでくれよ。
何もしないから……
何も出来やしないから……」
背中に回された手が震えている。
「……失ったものが手足なら、
こんなに辛くねーのに」
声が段々と小さくなってくる。
「お前を抱きてえ……。
俺だけのものにして――
あいつになんかに渡したくねえ」
何を言っているのか判らない、震える小さな声。
ただただ、その響きに酷く切なくなった時、
「――!!!」
あたしの携帯の着メロが響いた。