ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



♪ダッダッダッダーダダーダダーダー



このダースベーダーの着メロは櫂だ。


設定したのは玲くんだ。



ポケットから取り出したいのに、


「何で……邪魔すんだよ」


陽斗ががっしり抱きしめてくれてるおかげで取り出せない。




♪ダッダッダッダーダダーダダーダー



ダースベーダーはまだ鳴り続ける。



あたしは内心焦る。


だけど何で焦るのかよく説明が出来ない。


陽斗に抱きしめられているこの状況なのか。

早く出ろと怒られてばかりなのに、電話を取れないためか。



仕方がなくあたしは――

陽斗の足を踏んづけた。



昔、緋狭姉に言われた。


痴漢にあった時は、足の小指を踏んづけるのが効果的だと。



「~ッッ!!!」



陽斗も有効だったらしい。


こいつも、痴漢なのだろうか。


どうでもいいような疑問を持ちながら、あたしは携帯の通話ボタンを押した。


のだけれど――。



『もしもし!?』



受話器から聞こえる櫂の声。


ああ、あたしは喋れない。
 


『芹霞、陽斗に変われ』



さすがに櫂はお馬鹿さんではなかったらしい。

あたしではなく、陽斗に電話をかけてきたんだ。


あたしは電話を陽斗に突き出した。


だけど、陽斗は詰るような眼差しをあたしに向けると、ぷいと横を向いてしまった。


< 563 / 974 >

この作品をシェア

pagetop