ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
♪ダッダッダッダーダダーダダーダー
このダースベーダーの着メロは櫂だ。
設定したのは玲くんだ。
ポケットから取り出したいのに、
「何で……邪魔すんだよ」
陽斗ががっしり抱きしめてくれてるおかげで取り出せない。
♪ダッダッダッダーダダーダダーダー
ダースベーダーはまだ鳴り続ける。
あたしは内心焦る。
だけど何で焦るのかよく説明が出来ない。
陽斗に抱きしめられているこの状況なのか。
早く出ろと怒られてばかりなのに、電話を取れないためか。
仕方がなくあたしは――
陽斗の足を踏んづけた。
昔、緋狭姉に言われた。
痴漢にあった時は、足の小指を踏んづけるのが効果的だと。
「~ッッ!!!」
陽斗も有効だったらしい。
こいつも、痴漢なのだろうか。
どうでもいいような疑問を持ちながら、あたしは携帯の通話ボタンを押した。
のだけれど――。
『もしもし!?』
受話器から聞こえる櫂の声。
ああ、あたしは喋れない。
『芹霞、陽斗に変われ』
さすがに櫂はお馬鹿さんではなかったらしい。
あたしではなく、陽斗に電話をかけてきたんだ。
あたしは電話を陽斗に突き出した。
だけど、陽斗は詰るような眼差しをあたしに向けると、ぷいと横を向いてしまった。