ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


"ありえないでしょ。第一釣り合うはずがない"


陽斗は難しい顔をして、ずっと携帯の文字を覗き込んで、


「釣り合えば……

いいってことかよ」


苛立ったように、目を細めた。


そして、


「お前……自分を凄く卑下するけどよー」


あたしの腕を取り、


「俺にとってはさー、

――女なんだよ」


あたしを抱き寄せ、


「こんな恰好しなくても…」


喘ぐように溜息をついた。



「すげえ…

誰よりも…イイ女」



………。
 
 
は、陽斗ってばどうしたんだろう。

何を契機に、金色はピンクに浸食されたのか。



こう切なげに溜息をつかれると。

こう色っぽい声を出されると。


――照れる。


親愛のぎゅうを超えているようで、何か照れる。


ぽちぽちぽち…。


"ありがとう?"


疑問符までつけてしまった。


それを見た陽斗は、むっとしたような顔をした。



「"男"として、意識しねえの?」


低く抑えられた、面白くなさそうな声。



「身体の繋がりが、やっぱ必要?」



苦しげに歪まれた顔が、至近距離にあって。



「繋がらないと…判らねえの?

…伝わらねえ?


俺が…男だっていうこと」



金色の瞳の奥で、



「焦がれてるってこと」



何かが激しく揺れた。




――その時。



バタンッッ


乱暴にドアが開いて――



「道化師、身の程知らずなッ!!」



男が飛び込んで来て、怒鳴った。



そこであたしは――

魅入られたかのように動けなかった…金の呪縛から解放されたんだ。


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