ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
顔を真っ白にさせた御階堂が、テレビのチャンネルをバチバチ変えてみたけれど、どの局も同じ、御階堂とオカマの映像で。
全ての局をジャックして、あたしに逃げ場がないよう…囲んだ気だろうけれど、それがかえって仇となった。
御階堂は…この屈辱からの逃げ場を失ったんだ。
「紫堂~~ッッッ!!!」
もしこの映像のすり替えが、本当に紫堂の仕業なら。
こんなことが出来るのはきっと玲くんだ。
もしかして家に居る由香ちゃんも、喜んで協力したのかも知れない。
隣で金色陽斗はまだ笑い転げ、
目の前の御階堂は悔しさに卒倒しそうで。
もうあたしは本当に痛快で。
こっそりと携帯を陽斗に向けたんだ。
"氷皇がいない。逃げよう"
逃げるなら今だ。
だけど――
やはり、事はそう上手くいくはずもなく。
かちゃり。
憎々しいタイミングで開いたドアから出てきたのは、上半身裸でタオルを巻き付けた蒼生。
筋肉のついた見事な肉体美を惜しげもなく披露する彼は、風呂にでも入っていたくせに、事態を既に把握しているらしい。
颯爽とテレビの前に歩み寄り、
「あははははは」
やはり――
2つ折りになって笑い転げた。
そして傍の冷蔵庫から缶ビールを取り出し、プルタブを開ける軽快な音を響かせ、それに口をつけて飲み込んだと思いきや、お約束のようにブーッと宙に吹き出し、依然笑い続けた。
「やるねえ、白き稲妻も」
部屋はもう爆笑の渦で。
あたしは拉致された身だということも忘れ、蒼生と陽斗と共に笑い転げていた。
御階堂は電話で何やら怒鳴りつけている。
テレビの会見模様は、やがて番組司会者のものへと変わったけれど、その司会者もやはり笑いを堪えている様子で。
きっと今頃、日本列島は爆笑の渦だ。