ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~



幼馴染という関係を壊すことが、関係を改善させるきっかけだと信じている。

改善の余地なく関係は良好なのに、弥生にはそうは見えてないらしい。


「二次元の櫂と恋愛ゲームをして、何が楽しいの? 皆…」

「その恋愛シチュエーションもだけれど、キャラ毎、攻略できた際には、先着1名に実際の携帯番号を教えて貰えるの。だからゲームクリアも意味があるのよ」


何たること!!!

櫂の個人情報が漏れている!!!


本物であれば、の話であるが。


「櫂の携番ねえ。だったら尚更、櫂を攻略するメリットはないじゃない。というか考えられない。大体、特典貰えたところで、あたしには意味ないし」

あたしは自分の携帯を指で弾いた。


あたしは――

櫂の個人情報漏洩に気をつけている。


徹底しているつもり。


櫂の携帯番号はあたしの頭の中。

携帯には登録していない。


櫂が非公開を貫いている以上、あたしの携帯から櫂の情報が流出するのを防ぐためだ。


勿論その番号に電話することも、かかってくることもあるが、その場合の記録は全て都度消去している。


そこまで徹底しないと情報は漏れる。


それなのに…

――お前はいいんだ。俺のは登録しろ。

櫂は何故か怒るけれど。


とにかく、櫂のファン倶楽部の面々は陰湿なのだ。

変質行為など可愛いもので、本当に犯罪すれすれ。


誉ある紫堂の次期当主をこんな世俗的なことで煩わすわけにはいかないのだ。
 
そうしたあたしの徹底抗戦を思えば、番号を知るには…ゲーム攻略の方が容易いだろう。
 

「芹霞にはなんてことない情報が欲しい女の現状は……見てよ、この出席の少なさ。今頃必死に進めているわよ」

「そこまで皆必死になってるのに、まだ攻略者でないの?」

「ん。これオンライン接続しててね、オプション画面で他に攻略者が出たかどうか、随時確認できるんだけど、今のところどのキャラも該当者なし。難易度が高いのよ、同人の無料ゲームの癖にね。ただ文章読んで選択すればいいだけではなく……これはこれで分岐が複雑なんだけど、うまく進んでいけば後半戦には格闘ゲームに展開するのよ」


格闘ゲーム…。

また何て極端な。
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