ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
だけどタイトルを思い返せば――
『恋敵を蹴散らせ
最強乙女の恋愛バトル』
成る程。
「タイトル通りね。由香りんでさえ、すぐ強制終了(BAD END)になっちゃう程難しいんだって」
「由香りんって、D組の"あの"遠坂由香ちゃん?」
「そう、"あの"娘よ。現実世界(リアル)に見向きもしない、コスプレアニオタのゲーマー。ちなみに私にこのゲーム教えてくれたのも彼女。今まで接点なかったから、ちょっと吃驚したけどね」
あたしまで吃驚だ。
由香ちゃんは"妄想世界"の住人だと聞く。
その言動は異質だから、誰もが気味悪がって敬遠しているが…本人はまるで気にしていないという強者だ。
あたしは彼女と話したことはないけれど、噂を聞く限りにおいて、弥生と由香ちゃんは正反対の位置に居る。
「由香りん、ゲームクリアには必需でね。連絡とりあっているんだ」
「って、あんたもしてたの…このゲーム…。……。まさか…」
「そのまさか。紫堂くんが攻略キャラです。最初から凄いこと言ったり、すごいことするの。あのクールな顔で、2人きりになると強引肉食系。きゃ☆」
何が…"きゃ☆"だ!!!
櫂…あんた、知ってるの?
女達の妄想の餌食になってるよ?
「けど弥生。櫂の攻略なら…"キーワード"やらは? 何で今も、ゲームやらずに余裕?」
皆があたしを追い掛け回してまで聞き入れたがった櫂の情報…もとい、ゲーム進行に必要らしい"キーワード"、あたし弥生に聞かれた覚えはないんだけれど。
「由香りんの"裏技"のおかげで"キーワード"なくして進めてたの。だから格闘パートに入ってしまえば関係ないメルマガは無用」
それならその裏技とやらを早く広めて欲しいが、そう言えば弥生に拒否された。
「紫堂くん携帯番号は興味はないけれど、たかが携帯ゲームと侮っていたゲームに、ここまでハマってしまったら、最初にクリアしたいじゃない。だから敵に塩は送らない」
その為に、あたしは散々なんだけれど。
だけど弥生が一番にCLEARしてくれれば、櫂の情報が流出しないで済む。
弥生は、そういうものを悪用したりしない。
だからあたしは、安心して弥生に携帯を見せることが出来ているんだ、昔から。