ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「藤姫の快楽の為に生まれた制裁者(アリス)は、実験的な訓練を兼ねて、元老院に仇なす敵の一掃にも一役買っていたけどね。
血が好きな藤姫の要望で、制裁者(アリス)が血色の瞳を見せる時、彼らは藤姫以外の命令を受け付けない。身体が機能しなくなるまで、命令を遂行し続ける。
その狂気は常人には刺激的でね。真紅の邪眼なんて呼ばれているけれど。
あの施設の回復装置に入れば邪眼も解除される。だけどたまに暴走するからね。強制解除出来る人間も必要で、それが制裁者(アリス)計画の責任者である俺なわけ。
それが君に声を戻せた理由、判った?」
判ったような、判っていないような。
だけどまあ、とりあえずあたしは頷いた。
そう、その時のあたしは、話の矛盾点に気づいていなかった。
「藤姫はね、中途半端が嫌いでね。中途半端に生き続ける陽チャンの身体を快く思っていなかったんだ。
自ら手を下し、随分といじくり回したけれど、それ…陽チャン覚えてる?」
陽斗は答えなかった。
ただ――
激しい憎悪を蒼生に向けている。
「紫堂の研究所で姫自ら手を延べたのは光栄なことじゃないか。あはははは。色々遊んで貰ったよねえ、火責め、水責め、電気責め、毒責め……」
蒼生は指を折りながら続けていく。
「それでも君は大方再生しちゃうからね。だってそうでしょ、上にある墓場の死体だって、つなぎ合わせれば君の身体の一部として機能したんだから。まあ、機能出来ない部分もあるようだけれどね。お気の毒~。あはははは~!!!」
「……ッッ!!」
陽斗が憤怒の形相で机を蹴り上げた。