ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
玲は話し込んでいた。
「……そう、徹底的に。要領は判ったね。……ああそうだ。その組み立て方で。……うん、中継は僕がするから。……消すより効果的だろう? ああ、そうだ、報道マンのあの人の力も借りようかな。ふふふ、やるなら、徹底的にやりたいからね。ははは。容赦なくていいから。君の感性に任せるよ、インパクト強いものでね」
遠坂由香は、随分と玲の片腕になってくれているようだ。
かつて桜が手伝っていた時よりも、少ない言葉で通じるらしい。
少しだけ桜は、むくれているようだが…気づかないフリをした。
「あ、もしもし…三沢さん?」
何処へやら…玲は電話している。
遠坂由香。
俺には理解出来ない部類の少女だったが、紫堂の戦力にはなるようだ。
何より玲を補佐できるが、一番の収穫だ。
玲は電話を切ると、守護石である月長石から青光を放出させ、それを手に纏った。
「……玲?」
玲は微かに笑いながら言った。
「今、僕に出来ることをするよ。このままなめられて、黙ってる僕じゃない。メインコンピュータと由香ちゃんの補佐があるからね、コード書き換えも、今までより広範囲に及べると思う」
そして玲は、鳶色の瞳を閉じると、両手を前に突き出すような恰好のまま固まった。
青い光が玲の身体を螺旋状に取り巻く。
同時にその光の一部は、未(いま)だ騒然となっている事故現場に向かった。
担架に乗せられた人々。
仰向けに寝かされた人々。
彼らを全部包み込み、更には残骸となりはてて煙を吐き続ける列車へと。
やかでその光は、それは線路を走るように拡大していく。
電車の電気系統を吸収して、玲の力は広がりを見せている。
「すげえな、結界かよ?」
怪我人を救済しているのか。
恐らく――
山手線全周分。