ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


玲は話し込んでいた。


「……そう、徹底的に。要領は判ったね。……ああそうだ。その組み立て方で。……うん、中継は僕がするから。……消すより効果的だろう? ああ、そうだ、報道マンのあの人の力も借りようかな。ふふふ、やるなら、徹底的にやりたいからね。ははは。容赦なくていいから。君の感性に任せるよ、インパクト強いものでね」


遠坂由香は、随分と玲の片腕になってくれているようだ。

かつて桜が手伝っていた時よりも、少ない言葉で通じるらしい。

少しだけ桜は、むくれているようだが…気づかないフリをした。


「あ、もしもし…三沢さん?」


何処へやら…玲は電話している。


遠坂由香。

俺には理解出来ない部類の少女だったが、紫堂の戦力にはなるようだ。


何より玲を補佐できるが、一番の収穫だ。


玲は電話を切ると、守護石である月長石から青光を放出させ、それを手に纏った。


「……玲?」


玲は微かに笑いながら言った。


「今、僕に出来ることをするよ。このままなめられて、黙ってる僕じゃない。メインコンピュータと由香ちゃんの補佐があるからね、コード書き換えも、今までより広範囲に及べると思う」


そして玲は、鳶色の瞳を閉じると、両手を前に突き出すような恰好のまま固まった。


青い光が玲の身体を螺旋状に取り巻く。

同時にその光の一部は、未(いま)だ騒然となっている事故現場に向かった。


担架に乗せられた人々。

仰向けに寝かされた人々。


彼らを全部包み込み、更には残骸となりはてて煙を吐き続ける列車へと。


やかでその光は、それは線路を走るように拡大していく。

電車の電気系統を吸収して、玲の力は広がりを見せている。


「すげえな、結界かよ?」


怪我人を救済しているのか。


恐らく――

山手線全周分。


< 645 / 974 >

この作品をシェア

pagetop