ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


久々に聞く、愛しい声音。


戻ったのか!!!


俺が吃驚して声を上げるより早く


――いやあ、蒼生ちゃんがあたしの声を戻せたなんて吃驚仰天。



必要以上に大きな、上擦った声。


ああそうか。


芹霞は――

俺に黙って聞いていろと言っている。



気づけば煌も桜も、そして玲までも、俺の携帯の周りに集まって聞き耳をたてているから、俺は皆で聞きやすいように携帯をスピーカーにした。


どうやら氷皇が簡単に芹霞の声を戻したらしい。


意外だ。


それが"必然"だとしたら、

芹霞の声の喪失理由はなくなったということ。



だとすればそれは、


――僕の婚約者たる、神崎芹霞さんです。



愚かな。


そんなことの為に、芹霞の声が奪われたのか。


どこまで愚か過ぎるんだ、あの男は。


藤姫の提案か?


あの放映に、魂胆があったのか?



『いい加減、服着てよ、蒼生』



………。


どんな状況にいるんだ、お前は!!

そう思ったのは、俺だけではないはずだ。



『……割れた腹筋なら何度も触ったことがあるもん、煌の』



瞬時に、俺と玲の鋭い視線は煌に向く。


煌は真っ赤な顔でぶんぶん頭を横に振り、"昔……だったらあったかも"と小声で狼狽えた。


続けて、


『玲くんのはって? あ、割れてたよ。不思議だよね、引きこもってばかりいるのにね』


俺と煌の視線は、即座に玲に向く。


途端玲が、思い切りむせ込んでしまった。


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