ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
玲らしくはない、激しい動揺。
同時に携帯の向こうからも、わざとらしい咳が聞こえる。
芹霞が必死に誤魔化しているらしい。
「玲、お前迫ったのか!!!?」
やはり小声のままで、煌が玲にいきり立つと、
「僕が倒れた時の応急処置だ! 意識無かったんだよ、僕は!!」
小声の応酬。
電話で…俺の話題はなく。
何だか…寂しくなった。
やがて氷皇が一方的に話し始める。
藤姫の残虐性故に生まれた制裁者(アリス)のこと。
藤姫に利用された御階堂のこと。
俺にはどうも腑に落ちない。
符号が合わない部分が多すぎる。
隠されたものが多すぎる。
そして――
電話の奥で、芹霞がきっぱりと御階堂をフる声が聞こえた。
颯爽と潔く。
俺としては気分はよかったけれど。
それでも芹霞のこと、何処かで心を痛めているんだろう。
その後に、陽斗に…行動の真偽を問うたのは気に入らないけれど。
まるで、貴方の為にそうしましたと言っているかのようで。
しかも陽斗の呟き。
"俺だったら気が狂いそう"…だと?
よくもまあ…そんなことを言える!!!
勝手に狂え!!!
そんな中で…氷皇は言った。
『昨日ぶり~気高き獅子』
俺は溜息をつくしかなかった。
全て…氷皇はお見通しだ。