ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
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『いや~お見事だったね~。"あれ"、公開処刑って奴? あははははは~』


公開処刑――。


俺は、玲が具体的に、何をしたのか知らない。

だけど…玲を見る限りでは、生温い報復ではないはずだ。



「芹霞の声を戻したのは、

あの"茶番"の盛り上げか」


俺は渋々声を出す。


『えー、まずはありがとうでしょう、気高き獅子~』


誰が言うか。


『櫂、見てたの……"あれ"。可笑しいでしょう?』


今にも笑い出しそうな芹霞の声が割り込む。


「お前の婚約が、どうして可笑しいことになる!!」


思わず声を荒げてしまうと、


『あれ、あれれ? 見たのはあれじゃなく、本物の方? 本物も流れてたの? でもまあ、インパクトは"あれ"の方があるから……』


「"あれ"?」


『え、うん。御階堂とマッチョなオカマの婚約披露会見。テレビはそればっか特集組んでたようだよ』


"マッチョなオカマ"


「「「………」」」



場は静まり返った。


静寂を破ったのは、肩を揺らして笑いを堪える玲だ。


「そ、そうか、由香ちゃん…ぷっ。録画…あるはずだから、後で見ようね。…ぷぷっ。御階堂は中々いい相手を選んだようで……っく。くくくくく」


玲の仕業は功を奏したらしい。


「それはそれは…お気の毒……」


煌がその場面を想像でもしているのか、何とも情けない声を上げて嘆いていた。


桜は、いつも通り無表情ではあるが、やや挙動不審にくりくり動く大きな目が、確実な"笑い"を伝えている。

 
『さすがだよね、思惑通り事を進めてくれて嬉しいよ』


"思惑通り"


その言葉にまた、場は静まり返った。


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