ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
正面玄関は駄目!!
裏門も駄目!!
魔の巣窟には、女狼が結託して張付いている。
負けるものか。
神崎芹霞は、こうやって8年、弱肉強食の世界をしぶとく生き抜いてきたんだ。
雑草魂、見せてやる!!!
だけど――。
「こおら~、ワンコッッ!!
幼馴染の危機に――
何処に消えた!!!?」
あたしの筋肉はプルプルだ。
ケーキの食べ過ぎが祟って、たるんだ身体の限界間近。
人生サバイバル。
だけどこんな処で命を落したくない。
しかし女性諸君。
そこまで"聞きたいこと"があるのなら…
「あたしじゃなく、
"本人"に聞けッッッ!!!」
曲がり角を右に走った時、目の前で開いたドア。
此処は天の助けとばかりに飛び込んだあたしは、
「!!!!!」
飛び込んでから激しく後悔する。
何たること!!!
見慣れた風景は――
「元気そうで何よりだ。
今度は仮病ではなさそうだな、神崎」
あたしの大嫌いな生徒会室。
出迎えたのは、1つ上の先輩である生徒会長。
あたしが最も苦手とする男だ。