ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


何だろう、叫びながら光景が目に浮かぶ。



真紅の血の海の中、泣いている少年。



「俺は――

あの時…対象外だった俺は。


芹霞を…目の前で……」



搾り出すような櫂の声。



やめろよ、何言い出すんだよ、櫂。





「俺の目の前で――


芹霞の……


芹霞の心臓を…


抉(えぐ)り出された」




――芹霞ちゃああん、死んじゃ嫌だあああ!!



どくん、どくん。



血に塗れた少年の手の中には少女。

胸に大きな穴を開けた少女。




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