ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


そして同時に悟ったのだろう。


それは問題にすべき重大なことではないと。




8年前のあの時――。



芹霞を穿った制裁者(アリス)は…


真紅の瞳と、

橙色の髪を持っていた。



俺は憎んだ。

だけどそれ以上に憎んだのは、無力な自分。


ただ泣き叫ぶことしか出来ぬ自分。


芹霞は、倒れながらも俺に笑顔を向け、


――大丈夫、泣かないで……?


最期まで俺を案じて逝こうとした。



何も出来ない自分。


それを痛感させたのは、あの時の煌だ。


そして煌をそんな暗殺者に仕立てたのは、自分だと緋狭さんは語った。


煌に対して縛られた俺の憎しみを、緋狭さんが解放した。


気づいたんだ。


一番、悪いのは――

元老院に逆らえぬ、藤姫を止められぬ…弱い紫堂だと。


だからどんなに今、元老院の前で揶揄されようとも、あの集団そのものを歴史から抹殺する為に耐えてきた。


なめられないよう、自分を磨いてきた。


諸悪の根源は元老院だから。


その犠牲者である煌。


なぜ緋狭さんが煌を特別視しているのかは判らないが、ただ――芹霞を殺した煌を見た時、緋狭さんは"煌"と叫んで、煌が瞳から真紅の色を消し、気を失うまで殴り狂った。


もしかすると、前に出会っていたのかも知れない。

だから、刺客として差し向けられたのかも知れない。


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