ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
俺の――いや、緋狭姉の力によって抉じ開けた道の先には、閉じられた門扉が見えた。
どうやって開けようか。
門の向こう側には、多分敵が待ち構えているだろうから、一番効果的の方法は何がいいのか…。
珍しく戦略を練っていた俺の横で、櫂がすたすたと歩いてきて。
ばああああん!!
紫堂の風の力で吹き飛ばしやがった。
地響きのような豪快音を轟かせ、
分厚い門扉が向こう側に倒れた。
こいつ、平然とした顔でやることは派手だ。
深く考えているのかいないのか、よく判らねえ。
当然のように騒ぎを聞きつけ、
建物の中から自衛官が銃を構えてやってくる。
「仕方ねえな」
俺は櫂の護衛だ。
主の命に従い、主の思い通りに行動出来るよう、守り抜くのが任。
もう櫂の眼中には俺は入っていないのか、それとも芹霞に手を出した俺に腹が立っているのか、櫂は俺に振り返ることなく、乱れ飛ぶ銃弾を風の盾ではね飛ばすと、敵を風で空高く巻き上げ、その風圧で止めを刺している。
次々に地面に叩き付けられ、
築き上げられる人間の山。
……容赦ねえな、櫂。
お前、完全憂さ晴らしだろ。
ひきつった俺の後ろから、血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)が雪崩れ込んできたのが判った。
櫂の背後を護る為、緋狭姉の腕環の力を頼る。
炎を懸命に強く喚起すれば、条件反射的に緋狭姉の残像が心に入ってくる。
石から流れてきたものか、緋狭姉が流したものかは判らないけど、緋狭姉の過去の記憶を見本にすればいいということか。