ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「は? 何だ? 藤姫が力を使っ……」
使っているとか?
そう最後まで俺が言い終わる前に、突然櫂が走り出した。
「ちょ……おい、櫂!!?」
何だよ、どうしたんだよ!?
そして俺もはたと思い至る。
藤姫が力を使っているとしたら、何の為だ?
藤姫がこの建物に居るとすれば、誰に向けて?
「芹霞…玲か!!!?」
そこからは無我夢中だ。
乱れる爆炎と爆風のコラボに、建物内にいる敵は、人間か否かを問わずに阿鼻叫喚の巷と化した。
途中、建物自体が激しく揺れた。
壁が崩れるほどの激しい揺れだが、これが天災じゃねえことくらい俺でも判る。
あの女、何かしでかしやがったのか。
建物に立ちこめる気の邪悪さが半端じゃねえ程濃くなっている。
俺でさえ全身総毛立ち、緊張に強ばる肌は痛いくれえだ。
此処だ――。
1つのドアの前で俺達は足を止める。
瓦解された建物の壁に下敷きになって呻く自衛官が居る。
ドアは崩れて残骸が入り口を塞ぎ、通れる隙間は何1つねえ。
向こう側から、微かに人の声が聞こえる。
突如――
爆発するかとかと思われるくらいでかいエネルギーが、更に2つ膨れあがった。
1つは藤姫だろう。
もう1つは――玲か?
何でこんなに大きな力を?