ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
何だか嫌な予感がする。
そしてその予感を煽ったのが、櫂の舌打ちの声だ。
「月長石が――手から消えた。
あいつ――
命を削って力に転換している」
「はあ!?」
櫂は問答無用で、開かずの入り口を強制的に爆破した。
向こうで。
玲が――光っている。
櫂の言葉が真実ならば。
あの光は…
玲の命の輝き?
ぞっとした。
駄目だ。
何馬鹿なことしてるんだよ、玲ッ!!
床に崩れている陽斗。
――って、お前居たのかよ。
しかも氷皇すら、体勢を崩している?
玲と対峙している藤姫は白い光に包まれて。
鳥肌が立つような不気味な言葉をぶつぶつ唱えている。
玲を――
こいつの犠牲にして堪るか。
もう休め、玲。
「血染め石は……
芹霞は――俺のものだ」
櫂がそう言った時。
玲は悲しげに……
儚く笑った気がした。