ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
鮮やかな橙色と、玲という不安愁訴が視界から消えれば、思い出されるのは…今し方、脳裏に刻み込められた残像。
陽斗が、芹霞に。
芹霞に!!!!
ああ、そんなこと考えてばかりでは、煌のことを言えやしないのに。
思わず唇を噛みしめ前方を見据えた時、頬に氷皇の足が掠った。
「乱されてちゃだめでしょ、気高き獅子、あはははは」
遠くで陽斗と煌の怒鳴りあいが聞こえる。
ギャンギャン、ギャンギャン。
まるで野犬の喧嘩。
そして――
「!!!!?」
陽斗は…何で鉤爪出して煌を威嚇してんだ?
しかも玲……お前意識あるのか、何で陽斗を襲う?
何だか、不出来な子供を抱えた親の気分だ。
「ほらほら余所見しない!!
俺が相手してるのが不足なのかい、君は」
少しばかり不愉快そうに顔を歪ませた氷皇が近くにあり、俺は不覚にも――俺が自身の身を守れる絶対安全領域の侵入を許してしまったことに気づいた。
氷皇の踏み出した1歩で更に間合いは詰められ、俺の防御は間に合わず、
「いただき、かな?」
氷皇の振り上げられた足。
やられる!!!!
そんな時。
「だっせーの、紫堂櫂。
ぎゃははははは」
鉤爪で攻撃を弾いたのは、金の男。