ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~


「全く不本意だけどよ、芹霞と白き稲妻が紅皇の元に辿り着くまでくらいは、お前に力貸してやるよ」


そう、偉そうに言い放った。


その不遜な態度に頭にきた俺だったが、矢継ぎ早にくる氷皇の足に余裕を無くし、結局気に食わない陽斗と共に闘うはめになる。


判っている。


芹霞だろう。


芹霞が言ったから、憎い俺の元に来たんだろう。

芹霞が言えば、こいつの憎悪と固執さえも無に返るのか。


それ程こいつは芹霞を…。



連続的な衝撃音が、地面に亀裂を作る。


2人相手でも、氷皇1人の猛威を止めることはできない。


しかも――

なんだ、次第に強まる場の邪気は。


ざわめく気配。

濃くなる瘴気。


血色の薔薇の痣(ブラッディ・ローズ)が押し寄せてきたのか。


それだけじゃない。


瓦礫の牙城から、

俺達を愉快そうに見つめ続ける、魔性の女。


響く声。


遠坂を使って呪詛の断行だと?


呪詛の変更――玲から誰に戻った?



俺――か?



しかも何だ?


遠坂の影にいる人影は。




あれは――





――御階堂?





どうして、あいつがこんな場所に居る?



今更何の用だ――?



何だか藤姫と口論しているようにも見える。



俺が目を細めた時だった。


突如地面が白く光ったのは。


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