ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
『そは永久に横たわる死者にあらねど、測り知れざる永劫のもとに死を超ゆるものなり』
頭に響いたのは、藤姫の声。
途端、俺の中に何かの意識が上書きするように流れてくる。
昏(くら)い――
闇の記憶。
寒い寒い世界の中で、持ち得る情は憎悪だけ。
その憎悪の波に、恐怖の対象に、俺は攫われそうになっている。
身体の至る処から、闇が体内に侵入してくる。
防げない。
抗えない。
抗う力すら根こそぎ奪われる。
圧倒的な…闇。
膨大過ぎる闇。
俺には制御不可能な、許容量以上の闇が、俺の身体を搦め捕る。
闇の触手は、俺の体内にて更に蠢き、俺の意識が…強制的に漆黒色に塗り替えられていく。
俺が…薄らいでいく。
"死"
予感した。
俺は必死に唇を噛みしめた。
闇の中、想い続けるのはただ1人。
芹霞。
俺が死んだら、お前はどうなる?
芹霞。
俺はお前に、何も伝えてないんだ。
好きだ。
愛しているんだ。
12年も色褪せることなく、更に強く狂おしく…
お前だけを求めていたんだと…
せめて――
それだけでも伝えられたら。
――あたし達は永遠だよ?
嫌だ。
嫌だよ。
終焉なんて…迎えたくない。
そんなの許したくない。
俺だって――
お前との永遠を願っている。
ずっとお前と一緒に――
生きていたいんだ!!!