ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「何でも何でも思い通りになるなんて思い上がらないでよ! 例えあたしが無力だとしても、あんたに対抗できる…あたししか出来ない必殺技、持っているんだからッ!!」
『……必殺技?』
「そうよ。東京が崩壊する暗黒の力が満つ前に、あんたが血染め石を操れない程、櫂の力を強める方法よッ!!!」
そう言うと芹霞は、
「櫂」
俺の方を見て、俺の両頬を手で挟んだ。
黒目がちな大きな目。
見る人間を惹き付けて止まないその目。
俺が…12年も魅縛され続けている目。
「櫂、今までありがとう。
――大好きだよ?」
そういうと芹霞は――
「――ッ!!?」
俺の唇に、自分の唇を押し付けたんだ。
吃驚してただ目を瞠るだけの俺に、
「櫂……。あたしを今まで護ってくれていた力で、ちゃんと皆を助けるんだよ?
藤姫さえも欲しがる、その大きな力でさ」
そう綺麗に笑うと、
「陽斗、ごめんッ!!!」
呆然として突っ立ったままの…
陽斗の手に装着されたままの鉤爪を、凄まじい速度で奪い取り、
それを――
「――ッ!!!」
自分の…心臓の位置に突き刺したんだ。