ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
「ごめんね、玲くん。玲くんが担当医でよかったよ。玲くんが医師免許あるって知った時はかなり驚いたけどね」
「自慢するもんでもないしね。でも芹霞が入院しなければ、僕だって紫堂系列のあの病院で、表立って医者なんてやらないよ。僕だってタダでは動かないからね?」
「……え。玲くん、高いの?」
少女は引きつった顔を見せる。
「ん? それに見合うもの、芹霞に貰っているでしょ?」
「何、それ?」
「んー。医者という特権があれば、誰にも触らせることなく邪魔されることなく、あんなトコこんなトコ、全部じっくり見せて貰えるからね。ご馳走様」
「は!?」
「……可愛かったよ?」
途端声音を甘くさせ…
蕩ける様な微笑を向けた青年。
彼が背負っていた華麗な薔薇の花が、一気に少女に降り注いだ。
「玲~~ッッ!!!! その色気何とかしろ……うわああ、芹霞が鼻血噴いた~ッ!!」
「……おや、何か前進?」
「手加減しろよ、玲……」
漆黒の髪をした少年が、脱力気味にぼやいた。
橙色の少年は、甲斐甲斐しく少女の鼻血を手当てしている。
わたわたと騒いではいるが、基本苦労性らしい。
「馬鹿蜜柑。女の子に両鼻"つっぺ"など屈辱ですのよ?」
イマイチ、乙女心というものには疎いようだが。