ひめがたり~いばら姫に真紅の薔薇を~
彼らは全員、1つの墓碑を見た。
『陽斗乃墓』
こじんまりとした墓碑に、金色の文字で描かれている。
それを見た少女は、涙を堪えきれず泣き出した。
「陽斗……ッ!!!」
少女達はこの墓碑の主の生前の姿を思い出す。
金色の髪。
金色の目。
人間として扱われず利用されるにいいだけ利用され、最期に自らの意思で人間らしく逝った彼。
――ぎゃははははは。
誰もが第一印象は最悪だったけれど、少女が人間らしく変えていった。
金色の少年は、闇に沈みそうな少女を前に、少年達に言った。
『例え芹霞が血染め石でまた生き返ったとしてもよ、この先またあの藤姫みたいに利用する奴が出てくるかもしんねえ。
俺、もう芹霞のあの死ぬ姿は見たくねえんだよ。
あんなの絶対もう見たくねえ。
だけど芹霞は紫堂櫂を助けるためなら、何度でも繰り返すだろう。
お前達、何度もあの場面を見たいか!?』
誰よりも利用される辛さを判っている彼だったから。
『俺の…心臓を芹霞に移植し、
それで芹霞を生身の人間にしろ』
彼はそう提案した。
『俺は伊達に"緋影"してねえよ。どの部分かはもう忘れたが、過去、この身体に死体の一部を縫い合わせ、俺の身体の一部として蘇生させことがある。逆だって可能だ。ある意味俺が"生ける屍"みたいなもんだがよ』
そして彼は真剣な面持ちをして、彼らに頭を下げた。
『俺にしか出来ねえ、芹霞の助け方させてくれ。頼む』
彼らは知っていた。
金色の少年の身体の一部が欠損し、肉体的に少女と深い愛を分かち合うことが出来ないことを。
出来ない故に、精神的(プラトニック)を放棄したがっていたことを。
愛故の逆説は、更に彼が唯一揺るぎなく持ち続ける"矜持"も複雑に絡まり、何よりも少女との肉体における強い繋がりを求めていたことを。
もし自分達が彼の立場なら。
それを考えた時、偏執的に…より強い結びつきを欲する彼を拒むことは出来なかった。
『俺が俺らしく生きた証を……俺の"生"を満足できたという証をくれよ』
何も言い返すことは出来なかった。